ウィスカ(錫ウィスカ)とは、電子部品の端子などにめっきした錫(すず)の表面から、ひげ(ウィスカ)のように細い針状の結晶が、時間をかけて自然に伸びてくる現象、またはその結晶のことです。太さは数μm程度ですが、長さは数百μmからmm単位まで伸びることがあり、隣の端子に触れると電気的なショート(短絡)を起こします。
ウィスカが伸びる主な原因は、錫のめっきの膜の中にたまる押し縮める力(圧縮応力)です。たとえば銅の端子に錫をめっきすると、銅と錫が境目で反応して金属間化合物ができ、その体積の膨張で錫の膜が押されます。逃げ場を失った錫の原子が、膜の弱い場所から外へ押し出されるように結晶が伸びます。温度の上下の繰り返し、外からの機械的な圧力、湿気と腐食も、ウィスカの発生を促します。
かつては、錫に鉛を混ぜたはんだやめっきを使うことで、ウィスカはほとんど抑えられていました。しかし、環境規制(RoHS指令など)で鉛を使わなくなったことで、純粋な錫のめっきが増え、再び大きな問題になりました。対策として、粒の粗いつや消しの錫めっきを使う、銅との間にニッケルの層を入れて反応を防ぐ、めっきの後に熱処理をして応力を和らげる、といった方法がとられています。JEDECなどに、ウィスカの試験と許容の基準が定められています。