ECRプラズマ(Electron Cyclotron Resonance Plasma:電子サイクロトロン共鳴プラズマ)とは、磁場の中で電子が回転する周期と、外から加えるマイクロ波の周期を一致(共鳴)させ、電子にマイクロ波のエネルギーを効率よく与えて作る高密度のプラズマです。電子は磁場の中で磁力線の周りを決まった周波数(サイクロトロン周波数)で回転しており、一般に使われる2.45GHzのマイクロ波では、磁場の強さが約875ガウスのところで共鳴が起こります。
ECRプラズマの特長は、低い圧力でも高密度のプラズマを作れることです。共鳴によって電子が効率よく加速されるため、ガスが薄い(圧力が低い)条件でもガスを電離でき、イオンの密度が高くなります。圧力が低いとイオンが途中でガスとぶつかりにくく、まっすぐウェハに届くため、側壁が垂直な異方性のエッチングに向いています。また、プラズマを作るマイクロ波と、ウェハに当てるイオンのエネルギーを決めるウェハ側の高周波の電圧を別々に制御できるため、エッチングの速さとダメージを独立に調整できます。
ECRプラズマは、日本で実用化が進んだ技術で、日立ハイテクのマイクロ波ECR方式のエッチング装置は、ゲートやメタルなどの導体のエッチングに使われてきました。成膜では、低温で緻密な膜を作るECR-CVDにも応用されます。同じく高密度のプラズマを作る方式に、コイルの誘導電界を使うICP(誘導結合プラズマ)があり、平行平板の電極で作るCCP(容量結合プラズマ)とあわせて、エッチング装置のプラズマの代表的な方式として比較されます。