チャージアップ(Charge-up)とは、絶縁物やウェハの表面に、プラズマ・イオンビーム・電子線などから運ばれた電荷が逃げ場を失って溜まり、帯電する現象です。半導体製造では、プラズマエッチング、イオン注入、電子顕微鏡(SEM)による観察・計測の3つの場面で特に問題になります。溜まった電荷は電界を作り、飛んでくるイオンや電子の軌道を曲げたり、薄い絶縁膜を壊したりします。
プラズマエッチングでは、電子とイオンの動き方の違いから高アスペクト比の穴や溝の底が帯電します。電子は熱運動で方向がばらつくため細い穴の側壁の上部に捕まりやすく、ほぼ垂直に入るイオンは底まで届くので、穴の上部が負に、底が正に帯電します(エレクトロンシェーディング効果)。底の正電荷は後から来るイオンを押し返して曲げ、エッチングの停止や形状の乱れ、底の角が横に削れるノッチングを引き起こします。また、配線やゲート電極に集まった電荷がゲート酸化膜を通って流れると、酸化膜が劣化して信頼性が下がります(プラズマダメージ、アンテナ効果)。
イオン注入では、正イオンを打ち込み続けることでウェハ上のレジストや絶縁膜が正に帯電し、放電によって薄いゲート酸化膜が破壊されることがあります。このため注入装置では、低エネルギーの電子をウェハに浴びせて電荷を打ち消すプラズマフラッドガン(電子シャワー)を備えています。SEMでは、観察する絶縁物が電子線で帯電すると像が異常に明るくなったりドリフトしたりして、CD-SEMの寸法計測の誤差になります。加速電圧を下げる、走査の方法を工夫する、導電膜を付けるといった方法で帯電を抑えます。