酸化ガリウム(Ga2O3)とは、ガリウムと酸素からなる化合物半導体で、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)よりさらに大きいバンドギャップ(約4.8〜4.9eV)を持つ次世代のパワー半導体材料です。バンドギャップが大きいほど高い電圧に耐えられるため、同じ耐圧ならシリコンやSiCより薄い層で済み、オン抵抗を小さくできると期待されています。主に研究されているのは最も安定なβ型で、α型を使う開発もあります。
大きな利点は、基板の作りやすさです。SiCは昇華法、GaNは気相成長で結晶を作る必要があり、大きな基板を安く作るのが難しいのに対し、β型の酸化ガリウムはシリコンと同じように溶かした原料から結晶を引き上げる融液成長(EFG法など)で作れます。日本はこの分野の研究で先行しており、情報通信研究機構(NICT)などの成果をもとにしたベンチャー企業が、基板やショットキーバリアダイオードの製品化を進めています。
課題は2つあります。1つは熱伝導率がSiCの10分の1程度と低く、チップの熱を逃がしにくいことで、薄くして放熱性の高い基板に貼るなどの工夫が必要です。もう1つはp型の層を作るのが非常に難しいことで、pn接合を使う構造が作りにくく、まずはショットキーバリアダイオードや、n型だけで作れるトランジスタから実用化が進んでいます。