ウォータージェット(Water Jet)とは、ノズルから高圧の水を細い噴流として噴射し、その衝突力で対象物を除去・洗浄・加工する技術のことです。半導体の製造では主に後工程で使われ、モールド後の樹脂バリの除去(デフラッシュ)、ダイシング後の洗浄、レーザー加工のガイドなどの用途があります。
もっとも代表的な用途はウォータージェットデフラッシュです。リードフレーム型のパッケージをトランスファーモールドで封止すると、金型の合わせ目やリードの間にモールド樹脂が薄くはみ出したバリ(フラッシュ)が残ります。これが残ったままでは、後のめっきやはんだ付けが不良になるため、高圧水を吹き付けて除去します。バリを除去しやすくするため、事前に薬液や電解処理でバリを軟化・剥離させておくこともあります。
洗浄用途では、ダイシングや研削で出た切りくず(コンタミ)を高圧の水流で洗い流すのに使われます。ブレードダイシングでは切削部の冷却と切りくずの排出のために水をかけながら加工しますが、その後の洗浄工程でさらに高圧の水や二流体ジェットを当てて、ウェハ表面に残った微細な異物を除去します。
加工用途では、細い水柱の中にレーザー光を閉じ込めて導く「水導光レーザー(レーザーマイクロジェット)」があります。水柱が光ファイバーのようにレーザーを導きつつ加工部を冷却し、デブリを流し去るため、熱影響の小さい切断ができます。化合物半導体ウェハの切断やダイヤモンド工具の加工などに用いられます。
ウォータージェットは薬液を使わずに物理的な力だけで除去できる一方、水圧が強すぎるとワイヤーやリード、チップの損傷につながります。対象に応じて水圧・ノズル径・噴射角度・走査速度を調整し、水質(純水の比抵抗や異物)も管理して使われます。