鉛フリーはんだとは、鉛(Pb)を含まないはんだのことです。電子機器の接合には長く、融点183℃の錫鉛共晶はんだ(Sn-37Pb)が使われてきましたが、鉛の人体や環境への有害性から、EUのRoHS指令(2006年7月施行)などで電子機器への鉛の使用が制限され、2000年代に鉛フリーはんだへの切り替えが進みました。
現在の標準は錫(Sn)・銀(Ag)・銅(Cu)を組み合わせたSn-Ag-Cu系(SAC系)で、特にSn-3.0Ag-0.5Cu(SAC305、融点約217〜220℃)は、日本の電子情報技術産業協会(JEITA)が推奨したこともあり、世界的な標準組成になりました。このほか、銀を減らしてコストを下げた低銀SAC、フローはんだに使われるSn-Cu系(融点約227℃)、融点139℃の低温はんだSn-Bi系、融点の高いSn-Sb系などがあり、用途に応じて使い分けます。
鉛フリーはんだは錫鉛はんだより融点が約35℃高いため、リフローのピーク温度が240〜260℃程度に上がり、部品や基板により高い耐熱性が求められるようになりました。また、濡れ広がりにくい、錫から針状の結晶が伸びて短絡を起こすウィスカが発生する、硬く脆いため落下衝撃に弱いといった課題があり、フラックスや合金組成、めっきの工夫で対策しています。一方、融点の高い高鉛はんだ(鉛85%以上)は代替が難しいとしてRoHSの適用除外とされ、パワー半導体のダイボンディングなどで使われてきました。その代替として、銀の焼結接合(焼結銀)などの開発が進んでいます。