クロスコンタミネーション(Cross Contamination:相互汚染)とは、ある工程や製品で使った物質が、装置・容器・人・空気などを介して別の工程や製品に持ち込まれ、汚染を引き起こすことです。単にコンタミネーション(汚染)と言うと汚れ全般を指しますが、クロスコンタミネーションは「別のところから移ってくる」汚染に着目した言葉です。食品や医薬品の製造でも使われ、半導体では、デバイスの特性を大きく変える金属などの汚染を防ぐうえで特に重視されます。
半導体で最も警戒されるのは、配線工程(BEOL)で使う銅などの金属が、トランジスタを作る前工程(FEOL)に持ち込まれることです。銅はシリコンの中を非常に速く拡散し、バンドギャップの中に準位を作ってリーク電流やキャリアの寿命の低下を引き起こすため、ごく微量でも致命的です。そのため工場では、銅を扱う工程とそうでない工程で装置やFOUP(ウェハの搬送容器)を分け、容器の色や識別子で区別して、銅に触れたウェハが前工程の装置に入らないよう管理システムで制限します。ウェハの裏面やエッジに付いた金属も持ち込みの原因になるため、裏面の洗浄も行われます。
装置の内部でも相互汚染は起こります。イオン注入装置では、直前に注入した別の元素がビームラインの壁に付き、それがスパッタされて次のウェハに混入することがあります。洗浄装置では、汚れたウェハの洗浄液が槽に残り、後から入れたウェハを汚すことがあるため、液の交換や枚葉式の洗浄で対策します。レジストや材料から出るガス(アウトガス)が別のウェハや装置の光学系を汚す例もあります。対策の基本は、汚染源の分離、装置と容器の専用化、工程の順序の管理と、定期的な汚染の測定です。