ウェットベンチとは、薬液や純水を満たした複数の槽(バス)を横一列に並べ、ウェハをまとめて順番に浸して洗浄・エッチングする装置のことです。バッチ式洗浄装置の代表で、ウェットステーションとも呼ばれます。25枚や50枚のウェハを1ロットとして一度に処理できるため、処理能力が高いのが特長です。
典型的な構成では、SPM(硫酸過水)、SC1、希フッ酸(DHF)、SC2などの薬液槽と、薬液を洗い流す純水のリンス槽が交互に並び、最後に乾燥部があります。ウェハは搬送ロボットで槽から槽へ運ばれ、決められた時間ずつ浸されます。リンス槽では、純水を一気に排出して入れ替えるクイックダンプリンス(QDR)や、槽の下から純水をあふれさせるオーバーフローリンスで薬液を洗い流します。乾燥には、IPA(イソプロピルアルコール)の蒸気を使うマランゴニ乾燥や、ウェハを回転させるスピン乾燥が使われます。以前はカセットごと浸していましたが、薬液の持ち込みを減らすため、ウェハを直接つかんで運ぶカセットレス方式が主流です。
ウェットベンチは処理能力が高く薬液を繰り返し使えるため、1枚あたりのコストが低い一方、槽の中で剥がれた汚れが他のウェハに移る相互汚染や、ウェハの面内・ロット内のばらつきが課題です。微細化が進んだ先端品では、1枚ずつ薬液を吹き付ける枚葉式洗浄装置への置き換えが進みましたが、熱リン酸による窒化膜のエッチングや、レジスト除去、ウェハの受け入れ洗浄など、処理時間が長い工程では今もウェットベンチが広く使われています。主なメーカーには、SCREENセミコンダクターソリューションズや東京エレクトロンなどがあります。