HSQ(Hydrogen Silsesquioxane:水素シルセスキオキサン)とは、ケイ素・酸素・水素からなるかご状の分子の無機系材料で、電子線リソグラフィで最も細かいパターンを作れるレジストの1つとして知られています。電子線が当たった部分の分子どうしがつながって固まり、現像液に溶けなくなるネガ型のレジストです。
HSQの特徴は、10nm以下の非常に細い線を、線の縁の荒れ(ラフネス)が小さく作れることです。分子が小さく、化学増幅型のレジストのように酸が広がる過程がないため、解像度が高くなります。現像にはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の水溶液を使います。露光後のHSQは酸化シリコンに近い膜になるため、そのままエッチングのマスクや、絶縁膜として使うこともできます。
弱点は、感度が低く、パターンを作るのに多くの電子線の量が必要で、描画に時間がかかることと、塗布した後の保存中に性質が変わりやすいことです。そのため量産のリソグラフィではなく、研究開発での極微細なパターンの試作や、ナノインプリント用の型(テンプレート)、フォトニクスの微細構造の作製に使われています。もともとは、塗布して作る低誘電率の絶縁膜の材料として開発されました。