メタルオキサイドレジスト(MOR:Metal Oxide Resist)とは、スズなどの金属の酸化物を主成分とする、EUV露光向けの新しいタイプのフォトレジストです。金属と酸素が数nmの小さな塊(クラスター)を作り、その周りを有機の分子が囲んだ構造をしています。EUVの光が当たると有機の部分が外れて金属の酸化物どうしがつながり、現像液に溶けにくくなります。多くはネガ型として使われます。
最大の利点は、EUVの光をよく吸収することです。EUVの光(13.5nm)は、炭素や水素などでできた従来の有機のレジストにはあまり吸収されず、1つ1つの光子のエネルギーは大きい代わりに数が少ないため、光子の数のばらつきがパターンの粗さや欠陥(確率論的効果)につながります。スズなどの金属はEUVの吸収が大きく、薄い膜でも光を効率よく使えます。また、金属の酸化物はエッチングに強いため、膜を薄くしても下の膜を加工でき、パターンの倒れも防ぎやすくなります。
代表的な開発企業は、JSRが2021年に買収した米国のInpriaで、液体を回転塗布する方式です。これとは別に、Lam Researchはガスの原料から気相で膜を付け、現像も気相で行うドライレジストを開発しています。高NA EUVの世代では焦点の合う範囲が浅く、レジストを薄くする必要があるため、金属系のレジストへの期待はさらに高まっています。装置や工場に金属を持ち込むため、汚染の管理も課題です。