注入室(エンドステーション:End Station)とは、イオン注入装置のうち、ウェハを保持してイオンビームを実際に打ち込む部分のことです。イオン注入装置は、イオンを作るイオン源、目的のイオンだけを選ぶ質量分析部、イオンを加速・整形するビームライン、そしてウェハに注入するエンドステーションの順に構成されます。エンドステーションは真空に保たれ、ロードロックを通してウェハを出し入れし、注入を終えたウェハを搬送系に戻します。
エンドステーションの役割は、ウェハ全面に決められた量(ドーズ)のイオンを均一に打ち込むことです。ビームの断面はウェハより小さいため、ビームを電気的・磁気的に振る(スキャン)か、ウェハを機械的に動かすか、その組み合わせで全面に注入します。かつては多数のウェハを回転円盤に並べて一度に処理するバッチ式が主流でしたが、現在は1枚ずつ処理する枚葉式が中心です。ウェハは静電チャックなどのプラテンに固定され、注入中の発熱を冷却し、結晶の方向によるチャネリングを避けるためにウェハの傾きと回転の角度を精密に制御します。
注入量の管理と帯電対策もエンドステーションの重要な機能です。ウェハの近くに置いたファラデーカップでビームの電流を測り、時間で積算して注入量を制御します。正イオンを打ち込み続けるとウェハ上の絶縁膜やレジストが帯電し、薄いゲート酸化膜を壊すおそれがあるため、低エネルギーの電子を浴びせて電荷を打ち消すプラズマフラッドガンを備えています。レジストから出るガスによる真空度の変化も、注入量の誤差の原因になるため管理されます。