バルク(Bulk)とは、英語で「かさ・塊・大部分」を意味する言葉で、半導体では表面や界面、薄膜に対して、材料の内部(中身全体)を指します。たとえば材料そのものが持つ性質を「バルクの特性」、表面の影響を受けない内部での再結合を「バルク再結合」と呼びます。一般にはばら積みの貨物や大容量品を指す「バルク品」の意味でも使われますが、半導体の文脈では主に「内部・塊」の意味です。
最もよく使われるのが、SOI(Silicon On Insulator)と対比したバルクシリコン(バルク基板)です。バルクシリコンは、全体が単結晶シリコンでできた通常のウェハで、トランジスタはその表面に直接作られます。一方SOIは、シリコンの中に絶縁膜(埋め込み酸化膜)を挟み、その上の薄いシリコン層に素子を作ります。バルクのCMOSは基板の価格が安く、製造の実績も豊富なため、ロジック・メモリの大半はバルクシリコンで作られています。先端のFinFETやGAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタも、多くはバルク基板の上に作られています。
バルクとSOIの違いは、トランジスタの下が基板とつながっているかどうかです。バルクでは、素子と基板の間にPN接合ができるため、接合の容量やリーク電流、隣の素子との寄生的な結合によるラッチアップ、放射線によるソフトエラーが起きやすくなります。SOIはこれらを抑えられる代わりに基板が高価です。このほか、MEMSではシリコン基板そのものを深く削って構造を作る加工をバルクマイクロマシニングと呼び、表面に積んだ薄膜を加工する表面マイクロマシニングと区別します。