ポッド(Pod)とは、半導体工場でウェハやフォトマスクを外気から隔てて保管・搬送するための密閉容器のことです。代表的なのがSMIF(Standard Mechanical InterFace)ポッドで、1980年代に米ヒューレット・パッカード社が提唱した、容器の中だけを清浄に保つという考え方に基づいています。工場全体を極めて高い清浄度にする代わりに、ウェハが触れる容器の中と装置の中だけを清浄に保つことで、クリーンルームの建設・運用コストを抑えながら汚染を防げます。
SMIFポッドは主に200mm以下のウェハで使われ、底面が開く構造が特徴です。装置の受け口(SMIFポート)に置くと、ポッドの底板とウェハを入れたカセットが一緒に装置の中へ下りていき、外気に触れずにウェハを受け渡します。300mmウェハでは、正面の扉が開くFOUP(Front Opening Unified Pod)が標準となり、ロードポートと組み合わせて使われます。出荷用の容器はFOSBと呼ばれます。いずれもSEMI規格で寸法や扉の構造が定められ、異なるメーカーの装置と容器を組み合わせられます。
フォトマスク(レチクル)用のポッドも重要です。露光装置へマスクを運ぶレチクルSMIFポッド(RSP)は、マスク表面へのパーティクル付着を防ぎます。EUV露光では、ペリクルを付けないマスクも多く、わずかな粒子が欠陥になるため、内側と外側の二重構造を持つEUVポッドが使われます。ポッドの材料には、汚染物質を出しにくく静電気を逃がす樹脂が選ばれ、内部を窒素で置換して酸化や湿気を防ぐ方式も広がっています。