電子グレード薬品(高純度薬液)とは、半導体や液晶パネルの製造で使うために、金属や微粒子などの不純物を極限まで取り除いた薬品のことです。フッ化水素酸(フッ酸)、硫酸、過酸化水素水、アンモニア水、塩酸、硝酸、IPA(イソプロピルアルコール)などが代表で、ウェハの洗浄やエッチングに大量に使われます。一般の工業用や試薬用の薬品とは、純度の水準がまったく違います。
半導体の工程では、薬液に含まれるわずかな金属がウェハの表面に付くと、ゲート酸化膜の信頼性の低下や接合のリーク電流の増加につながります。そのため、最先端の工程向けの薬液では、ナトリウム・鉄・銅などの金属の不純物を、1兆分の1(ppt)のレベルまで下げることが求められます。パーティクルについても、液体1mLあたりに含まれる微小な粒子の数が厳しく管理されます。SEMIの規格では、用途に応じた純度の等級(グレード)が定められています。
高い純度を保つには、作るときの精製(蒸留やイオン交換など)だけでなく、容器、配管、ポンプ、フィルタなど、薬液が触れるすべての部材からの溶け出しを抑えることが重要です。工場の中では、薬液供給システム(CDS)が薬液をタンクから装置まで清浄なまま送り、使う直前のユースポイントでも濾過します。日本の化学メーカーは、高純度のフッ酸などで世界的に高いシェアを持っています。