膨潤(ぼうじゅん:Swelling)とは、樹脂などの高分子材料が溶剤や水などの液体を吸い込み、溶けずに体積が膨らむ現象です。高分子の鎖の間に液体の分子が入り込むことで起こり、ゼリーや乾燥した豆が水を吸って膨らむのも膨潤の例です。網目状に架橋した高分子は、液体を吸っても溶けずに膨らむだけになるため、膨潤が起こりやすくなります。
半導体では、フォトレジストの現像での膨潤が歴史的に重要です。かつて主流だった環化ゴム系のネガ型レジストは、露光で架橋して溶けなくなった部分も、有機溶剤の現像液を吸って膨潤しました。膨らんだパターンは隣どうしがくっついたり、蛇行したりして形が崩れ、微細なパターンが作れませんでした。これに対し、ノボラック樹脂を使うポジ型レジストは、アルカリ水溶液(TMAH)で現像しても膨潤がほとんど起きないため、解像度を高められ、1980年代以降の微細化の主流になりました。現在のネガ型レジストでも、現像液の選択や樹脂の設計で膨潤を抑える工夫がされています。
膨潤はほかの工程でも現れます。CMPの研磨パッドは水やスラリーを吸って膨潤し、硬さや形が変わるため、使い始めのならし(ブレークイン)や保管の条件で管理します。レジストの剥離では、剥離液でレジストを膨潤させてから除去することで、効率よく剥がします。多孔質の低誘電率膜やパッケージの樹脂は、水分を吸って膨潤すると、誘電率の上昇や応力の変化、剥離の原因になるため、吸湿を抑える処理や乾燥工程が取り入れられています。