リフトオフ(Lift-off)とは、先にレジストでパターンを作り、その上から膜を付けたあとレジストを溶かして除くことで、レジストの上に載った不要な膜を一緒に剥がし取り、基板に直接付いた部分だけを残す加工方法です。膜を全面に付けてからレジストをマスクに削る通常のエッチングとは順序が逆で、エッチングを使わずに膜のパターンを作れるのが特徴です。
リフトオフの手順は、(1)レジストを塗って露光・現像し、膜を残したい場所だけレジストを除く、(2)その上から金属などの膜を付ける、(3)レジストを剥離液で溶かし、上に載った膜ごと除く、の3段階です。うまく剥がすためには、レジストの上の膜と基板上の膜が側面でつながらないことが重要です。そこで、レジストの断面が上ほど張り出す逆テーパー形状(オーバーハング)にしたり、下層にだけ溶けやすい材料を使う2層レジストで庇を作ったりします。成膜には、原子がまっすぐ飛んで側面に付きにくい電子ビーム蒸着が向いており、回り込みやすいスパッタは不向きです。
リフトオフは、金・白金などエッチングで加工しにくい金属や、下地をエッチングで傷めたくない場合に使われます。GaAsやGaNなど化合物半導体のトランジスタの電極、HEMTのゲート、MEMS、光デバイス、研究開発での試作などが代表的な用途です。一方で、剥がした膜の破片が再付着したり、レジストの残渣(スカム)があると膜が付かなかったり、パターンの縁にバリが残ったりしやすく、微細化や量産での歩留まりには限界があるため、シリコンの先端ロジックの配線にはダマシン法やエッチングが使われます。