ノボラック樹脂(Novolac Resin)とは、フェノール類(フェノールやクレゾール)とホルムアルデヒドを、酸を触媒として反応させて作るフェノール樹脂の一種です。同じ原料をアルカリを触媒として作るとレゾール樹脂になります。ノボラックは単独では加熱しても硬化しない熱可塑性の樹脂で、硬化剤を加えて初めて硬くなります。一方、レゾールは加熱するだけで自ら硬化する熱硬化性の樹脂です。
半導体では、ノボラック樹脂はg線・i線露光用のポジ型フォトレジストの主成分として長く使われてきました。ノボラック樹脂はアルカリ水溶液に溶ける性質を持ちますが、感光剤のジアゾナフトキノン(DNQ)を混ぜると溶けにくくなります。光が当たるとDNQが分解してアルカリに溶けやすい酸に変わるため、露光した部分だけがTMAHの現像液に溶けてパターンになります。ノボラック系レジストは現像液で膨潤しにくく、ドライエッチングへの耐性も高いことから、1980年代以降の微細化を支えました。ただし波長248nmのKrF光を強く吸収するため、KrF以降はポリヒドロキシスチレン(PHS)などを使う化学増幅型レジストに置き換わりました。現在もi線露光の工程や、厚膜のレジスト、パッケージ工程で使われています。
ノボラック樹脂は、パッケージの封止材(エポキシモールディングコンパウンド)にも欠かせません。フェノールノボラック樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として使われ、耐熱性・耐湿性・電気絶縁性の高い封止材を作ります。また、エポキシ基を付けたクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂も封止材の主剤として広く使われてきました。