WIP(Work In Process/Work In Progress:仕掛品)とは、製造ラインに投入されたものの、まだ完成していない製品のことです。半導体工場では、投入済みで工程の途中にあるウェハの総量を指し、ウェハの枚数やロット数で数えます。会計上は棚卸資産の一つで、半導体メーカーの決算書に載る「仕掛品」の多くは、この製造途中のウェハです。なお一般には「作業中」の意味でも使われ、イラストなどの制作途中の作品を指す「WIP」も同じ言葉に由来します。
WIPは生産管理で最も重要な指標の一つです。スループット(単位時間あたりの完成量)・製造期間(サイクルタイム、TAT)とのあいだには「WIP=スループット×サイクルタイム」というリトルの法則が成り立ちます。スループットが装置能力で決まっているとき、WIPを増やしても完成量は増えず、ウェハが装置の前で待つ時間が伸びて製造期間が長くなるだけです。逆にWIPが少なすぎると、ボトルネックとなる高価な装置が仕事を失って止まり、生産能力を無駄にします。
そのため工場では、MES(製造実行システム)でウェハの位置と進み具合を追い、工程ごとのWIPの偏りを監視します。特定の工程にWIPが溜まる「WIPバブル」が起きると、その先の工程が空になり後から一気に流れ込むため、ディスパッチング(次にどのロットを処理するかの決定)で投入順を調整します。WIPは搬送システム(AMHS)とストッカーが保管し、工程間の待ち時間に上限(Q-Time)がある工程では、WIPの滞留が歩留まりの問題にもつながります。