スループット(Throughput)とは、一定時間に処理できる量のことで、半導体製造では主に装置が1時間に処理できるウェハの枚数を指し、WPH(Wafers Per Hour:枚/時)で表します。後工程の組立装置やテスト装置では、処理できるチップの個数を表すUPH(Units Per Hour)が使われます。装置の価格が数億〜数百億円に達する半導体製造では、スループットが1枚あたりの装置コスト(減価償却費)を直接決めるため、性能と並ぶ最重要の仕様です。
装置のスループットは、ウェハ1枚の処理時間だけでは決まりません。ロードロックの排気と大気開放、ロボットによる搬送、ウェハの位置合わせや温度安定化の待ち時間といったオーバーヘッドが加わります。複数の処理室を持つクラスターツールでは、最も時間のかかる処理室がボトルネックとなって全体の速度を決めます。露光装置ではステージの移動速度や光源の出力、エッチングや成膜では処理時間そのものが支配的で、装置メーカーは処理室の並列化や搬送の高速化で性能を競っています。また、カタログ上のスループットと、段取り替えやメンテナンス・待ち時間を含めた実効スループットには差があり、工場の計画では稼働率を掛けて評価します。
工場全体で見ると、スループットは一定期間に完成するウェハの枚数で、ライン内の仕掛品(WIP)・製造期間(サイクルタイム、TAT)とのあいだに「WIP=スループット×サイクルタイム」というリトルの法則が成り立ちます。スループットを変えずに仕掛品を積み増しても製造期間が延びるだけなので、ボトルネック工程の装置台数や稼働率を見極めて投入量を決めることが生産管理の基本になります。