前工程(ウェハプロセス)
イオン注入・熱処理エンジニア
最終更新:2026-09-28
この職種は何をするのか
イオン注入・熱処理エンジニアは、ボロンやリンなどの不純物イオンをシリコンに打ち込み、アニール(熱処理)で活性化させる工程を担当する職種です。注入のエネルギーとドーズで不純物の深さと量が決まり、その後の熱処理でどこまで拡散させるかが決まります。しきい値電圧やリーク電流といったトランジスタの電気特性を直接左右する工程です。
仕事内容
注入条件の設計
イオン種・エネルギー・ドーズ・注入角度を決め、狙いの深さ(投影飛程)と濃度分布を作ります。チャネリングを避けるための傾斜注入や、ハロー注入のような構造固有の注入も設計します。
活性化アニールと熱履歴の管理
RTP・スパイクアニール・フラッシュランプ・レーザーアニールを使い分け、不純物を活性化しつつ拡散を最小にします。工程全体の熱履歴(サーマルバジェット)の配分にも関わります。
ドーズとシート抵抗のモニタリング
モニタウェハのシート抵抗やサーマウェーブ信号で、注入量が狙いどおりかを毎日確認します。注入の誤りは後工程まで気づかれにくいため、監視の仕組みが重要です。
チャージアップ・汚染への対策
高電流注入ではウェハの帯電によるゲート絶縁膜の破壊や、金属・パーティクル汚染が問題になります。装置側の中和機構や条件で抑え込みます。
担当する工程・装置
必要になる知識・用語
イオン注入Ion Implantationドーズ量(注入量)Implant Dose飛程(Rp)と注入深さ分布Projected Range (Rp)チャネリング(イオン注入)Ion Channelingハロー注入(ポケット注入)Halo Implant / Pocket ImplantPAI(プリアモルファス化注入)Pre-Amorphization Implant (PAI)ドーパント活性化Dopant Activation熱バジェットThermal BudgetスパイクアニールSpike Annealフラッシュランプアニール(FLA)Flash Lamp Anneal (FLA)レーザアニールLaser Annealingチャージアップ(帯電)Charge-up
主な企業
関連する技術比較
よくある質問
イオン注入と熱処理は同じ担当ですか?
ファブによって分かれますが、不純物の分布は注入と熱処理の組み合わせで決まるため、一つのチームで見ることが多くなっています。拡散炉や酸化炉は別の熱処理担当が持つのが一般的です。
パワー半導体では何が違いますか?
SiCでは不純物がほとんど拡散しないため、高温注入と1600℃以上の活性化アニールが必要になります。シリコンとは装置も条件の考え方も大きく異なります。
物理系の出身者が多いのはなぜですか?
イオンと固体の相互作用、拡散方程式、結晶欠陥といった固体物理の知識が直接使われるためです。イオン注入装置自体も加速器の技術を応用しています。