電子銃(Electron Gun)とは、電子を放出させ、それを加速・収束して細い電子の流れ(電子ビーム)として取り出す装置のことです。かつてのブラウン管テレビの映像を描く部品として知られ、半導体では、走査電子顕微鏡(SEM)や寸法を測るCD-SEM、透過電子顕微鏡(TEM)、電子線でマスクやウェハにパターンを描く電子線描画装置、電子線による欠陥検査装置、金属を蒸発させて膜を作る電子ビーム蒸着装置などの心臓部として使われます。
電子銃は、電子を取り出す方式によって主に3つに分けられます。(1)熱電子放出型:タングステンのフィラメントや六ホウ化ランタン(LaB₆)の結晶を高温に加熱して電子を放出させる方式で、安価で扱いやすく大きな電流が得られます。(2)ショットキー放出型:酸化ジルコニウムを付けたタングステンの針を加熱しながら強い電界をかける方式で、明るく安定したビームが得られ、CD-SEMや電子線描画装置で主流です。(3)冷陰極電界放出型:加熱せずに鋭い針先に強い電界をかけて電子を引き出す方式で、ビームのエネルギーのばらつきが小さく、最も高い分解能が得られます。
電子銃の性能は、ビームの明るさ(輝度)、電子のエネルギーのそろい具合、放出の安定性と寿命で評価されます。明るく小さな点から電子を出せるほど、ビームを細く絞っても十分な電流が得られ、高い分解能と速い測定・描画が両立します。電界放出型は針先を清浄に保つために非常に高い真空が必要で、電子銃の部分には専用のイオンポンプなどを備えます。電子ビーム蒸着では、数kWの電子ビームを金属に当てて溶かし蒸発させるため、より大電流の熱電子型の電子銃が使われます。