用語成膜装置PVD装置最終更新 2026-10-07Excel・PDF版

オーバーハングとは

Overhang

オーバーハングとは、溝や穴に膜を付けるとき、開口部の上端に膜が厚く付いて庇のように内側へ張り出した状態のことです。主にスパッタなどのPVDで、斜めから飛来する原子が肩に集中して起こります。溝の底や側壁の膜が薄くなり、進むと開口部が塞がってボイドの原因になるため、イオン化PVDや再スパッタで抑えます。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

オーバーハング(Overhang)とは、溝や穴に膜を付けるときに、開口部の上端(肩の部分)に膜が厚く付いて、庇(ひさし)のように内側へ張り出した状態のことです。英語で「張り出し」を意味し、登山で頭上に張り出した岩壁を指すのと同じ言葉です。半導体では主にスパッタリングなどのPVD(物理気相成長)で問題になり、レジストのパターン断面が上ほど広がる形を指して使うこともあります。

オーバーハングができるのは、スパッタされた原子がさまざまな角度から飛んでくるためです。開口部の肩は上方からも斜めからも原子を受け取れるのに対し、溝の底や側壁の下部には、開口部から見える狭い範囲の方向からしか原子が届きません。その結果、肩に膜が多く付き、張り出した膜がさらに影を作って内部への供給を減らします(シャドウイング効果)。オーバーハングが進むと、溝の底や側壁の膜が薄くなってステップカバレッジが悪化し、最後には開口部が塞がって、中にボイドが閉じ込められます。

銅配線では、溝に先にバリアメタルとシード層をPVDで付け、その上に電解めっきで銅を埋め込みます。このときシード層にオーバーハングがあると開口部が狭まり、めっきで埋め切れずにボイドが残ります。対策として、スパッタした原子をイオン化して基板のバイアスで垂直に引き込むイオン化PVD、肩に付いた膜をイオンで削り落として底に回し込む再スパッタ、ターゲットと基板の距離を離して斜めの成分を減らすロングスロースパッタなどが使われます。微細な穴では、形状に沿って均一に付くALDでライナーを形成する方法も広がっています。

図解

オーバーハングの発生からボイドに至る流れ(斜め入射・肩の厚膜化・開口閉塞・ボイド)
穴が細く深くなるほど起きやすく、埋め込み不良の代表的な原因になる。

よくある質問(FAQ)

オーバーハングはなぜ問題になるのですか?
張り出した膜が影を作り、溝の底や側壁に膜が届きにくくなるため、ステップカバレッジが悪化します。さらに進むと開口部が塞がり、後から埋め込む銅などが中まで入らずにボイドが残って、配線の抵抗上昇や断線の原因になります。
オーバーハングを抑える方法は何ですか?
スパッタした原子をイオン化して垂直に引き込むイオン化PVD、肩に付いた膜をイオンで削って底に回す再スパッタ、ターゲットと基板を離すロングスロースパッタなどがあります。微細な穴では、表面に均一に付くALDで膜を形成する方法も使われます。

設備の製造メーカー

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