TGV(Through Glass Via、ガラス貫通電極)とは、ガラス基板を厚さ方向に貫通する微細な穴を開け、その内部を銅などの導体で埋める、または内壁を導体で覆うことで、基板の表と裏を電気的につなぐ構造のことです。シリコンを貫通するTSV(Through Silicon Via)のガラス版にあたり、ガラスインターポーザやガラスコア基板で上下の配線をつなぐために使われます。
穴あけには、レーザーを照射してガラスを改質した後にフッ酸系の薬液で選択的にエッチングして穴を形成する方法(レーザー改質+ウェットエッチング)や、レーザーで直接穴を開ける方法などが使われます。前者はクラックが入りにくく、高アスペクト比の穴を多数並べて一括で形成できるため、量産向けの手法として開発が進んでいます。
穴の導体化では、ガラスに直接めっきが付かないため、スパッタや無電解めっきでシード層を形成してから電解めっきで銅を成長させます。穴を銅で完全に埋める方式と、内壁だけを覆う方式(コンフォーマル)があります。ガラスと銅は熱膨張係数が大きく異なるため、密着性の確保と、熱履歴によるクラックや剥離の抑制が大きな課題です。
TSVとの大きな違いは、ガラス自体が絶縁体である点です。TSVでは導体とシリコンを絶縁するライナー膜が必要ですが、TGVでは不要です。また、ガラスは誘電損失が小さいため高周波の信号伝送に有利で、熱膨張係数を組成で調整でき、大面積のパネルでも平坦性を保ちやすいという利点があります。
生成AI向けの大型パッケージでは、有機樹脂のコア基板の反りや配線密度が限界に近づいていることから、ガラスコア基板への置き換えが検討されています。TGVはその中核となる技術で、ガラスメーカー・基板メーカー・装置メーカーが量産技術の確立を進めています。