ゼータ電位とは、液体の中に分散した粒子の表面が帯びている電気の強さを表す目安で、粒子と一緒に動く液体の層の外側(すべり面)での電位のことです。液体の中の粒子の表面は、多くの場合プラスかマイナスに帯電しており、その周りに反対の電荷のイオンが集まっています。ゼータ電位は、この粒子どうし、または粒子と表面の間で働く電気的な反発や引き合いの強さを知る手がかりになります。
CMPのスラリーでは、ゼータ電位が粒子の分散の安定性を決めます。粒子どうしが同じ符号に強く帯電していれば(一般に絶対値で30mV程度以上が目安)、互いに反発してばらばらのまま保たれます。ゼータ電位がゼロに近づくと反発が弱まり、粒子が集まって大きな塊(凝集)になり、ウェハにスクラッチ(傷)を付ける原因になります。ゼータ電位は液体のpHで大きく変わり、ゼロになるpH(等電点)はシリカでは2〜3程度、セリアでは中性付近と、材料によって異なります。
洗浄でも重要です。CMPの後、ウェハの表面に残った研磨粒子を取り除くとき、粒子とウェハの表面が同じ符号に帯電するpHの洗浄液を使うと、両者が反発し合って粒子が離れやすくなり、再び付くのも防げます。そのため、スラリーや洗浄液の設計では、材料ごとのゼータ電位とpHの関係を測ってから条件を決めます。測定には、電場の中で粒子が動く速さを光で測る電気泳動光散乱法が使われます。