カンチレバー(Cantilever)とは、一端だけを固定し、もう一端を自由にした梁(はり)のことで、日本語では「片持ち梁」と呼びます。先端に力がかかると梁がたわみ、そのたわみ量が力に比例するため、小さな力や変位を測るばね、あるいは針を押し当てる弾性体として使われます。半導体では、原子間力顕微鏡(AFM)の探針、ウェハテストのプローブカードの針、MEMSのセンサーやスイッチの構造として登場します。
AFMのカンチレバーは、長さ100μm前後のシリコンや窒化シリコンの薄い梁の先端に、先端の半径が数nmの鋭い探針を付けたものです。探針が試料の表面をなぞると、表面の原子との間の力でカンチレバーがたわみ、その背面に当てたレーザー光の反射角度の変化(光てこ)で、ナノメートル以下のたわみを検出します。カンチレバーのばね定数や共振周波数は、接触して測るか、振動させて軽く叩くように測るかといった測定モードに合わせて選びます。半導体では、表面の粗さ(ラフネス)や段差、CMP後の平坦性の測定に使われます。
プローブカードでは、カンチレバー型は最も古くから使われてきた方式です。タングステンなどの細い針を斜めに張り出させ、その先端をウェハ上のパッドに押し当ててチップとテスターを電気的につなぎます。針がたわむことで、押し当てる力を一定に保ち、パッドの表面の酸化膜を擦って確実に接触します。構造が単純で安価な一方、針の数や配置の自由度に限りがあるため、多ピン・狭ピッチのチップや多数のチップを同時に測る用途では、垂直型やMEMS型のプローブカードが使われます。