建屋(たてや)とは、機械や設備を収めるための建物のことで、工場やプラントの分野で使われる言葉です。一般の「建物」とほぼ同じ意味ですが、中に据え付ける設備を主役とし、それを覆う器としての建物を指すときに建屋と呼びます。半導体工場(ファブ)では、クリーンルームを持つ製造棟のほか、ガスや薬液の供給棟、排水処理棟、事務棟などが並び、それぞれを製造建屋・ユーティリティ建屋のように呼び分けます。
半導体の製造建屋は、一般の工場とは大きく異なる構造を持ちます。典型的には多層構造で、中央の階がウェハを加工するクリーンルーム、その下の階(サブファブ)に真空ポンプ・除害装置・電源・薬液供給などの補機を置き、配管や配線を床から装置へ立ち上げます。クリーンルームの床は空気を下へ流すための穴あき床(グレーチング)で、天井にはファンフィルタユニット(FFU)を並べ、その上や床下の空間(プレナム)を空気の通り道にします。露光装置などの精密装置のために、床は振動を抑える厚いコンクリートのワッフルスラブで作られ、建屋全体の剛性も高く設計されます。
建屋の建設は、工場を立ち上げるまでの工程の最初の大きな山です。大規模な先端工場では、着工から建屋の完成までに1〜2年ほどかかり、その後に製造装置の搬入とユーティリティへの接続(フックアップ)、工程の立ち上げが続きます。建屋の段階で、将来の装置の増設や、より大型の装置への入れ替えに備えた床の強度・天井の高さ・ユーティリティの容量の余裕を持たせておくことが、工場の寿命と投資効率を左右します。