ウェハマップとは、ウェハ上の各ダイ(チップ)の位置と、そのテスト結果や検査結果を対応づけて記録したデータ、またはそれを図として表示したものです。ウェハテストでは、ダイごとの合否やビン(不良の分類)が座標とともに記録され、ウェハを上から見た格子状の図として色分けして表示されます。どのダイが良品かを後工程に伝える役割と、不良の分布から原因を探る解析の役割の2つを担っています。
後工程では、ウェハマップが良品ダイを選び出すための指示書になります。かつては不良ダイにインクで印を付けて目視で区別していましたが、現在はウェハマップのデータをダイボンダーやピックアップ装置に渡し、良品ダイだけを自動で取り出す方式(インクレス)が主流です。データの形式はテスタや装置のメーカーごとに多様ですが、SEMI E142(基板マッピング)のような標準も定められています。
解析面では、不良ダイがウェハ上にどう分布しているか(空間的なパターン)が重要な手がかりになります。ウェハの外周に沿った不良はエッジ付近の成膜や洗浄の不均一、中心部に集中する不良はスピン塗布やCMPの面内分布、直線状に並ぶ不良は搬送時のスクラッチ、同じ位置が繰り返し不良になる場合はフォトマスクの欠陥が疑われます。このような分布のパターン(シグネチャ)を分類することで、原因となった工程や装置を絞り込めます。
近年は、ウェハマップのパターン分類に機械学習が使われています。大量のウェハマップを画像として学習させ、典型的な不良パターンを自動で判別して原因工程の候補を示す仕組みが、歩留まり管理システムに組み込まれています。またウェハテストのマップを、前工程の欠陥検査やWATのマップと重ね合わせることで、どの欠陥が実際に電気的な不良につながったかを特定する解析にも使われています。