車載半導体とは、自動車に搭載される半導体の総称です。エンジンやブレーキを制御するECU(電子制御ユニット)のマイコン、電動車のモーターを駆動するインバーターのパワー半導体、カメラ・レーダー・加速度センサーなどのセンサー、自動運転やインフォテインメント向けのSoC・メモリ、電源管理用のアナログICなど、多くの種類が含まれます。
車載半導体には、民生品より厳しい品質と信頼性が求められます。エンジンルームなどの高温環境や振動、長期間の使用に耐え、故障が人命に関わるためです。信頼性試験の基準として、AEC(Automotive Electronics Council)が定めるAEC-Q100(IC)、AEC-Q101(ディスクリート半導体)などがあり、動作温度範囲で分けたグレード(Grade 1は-40〜125℃など)が規定されています。
品質管理の面では、自動車業界の品質マネジメント規格IATF 16949や、電子制御システムの機能安全規格ISO 26262への対応が求められます。不良率はppm(100万個あたり)からさらにその下を目標とする「ゼロディフェクト」の考え方で管理され、製造工程の変更には顧客への事前承認が必要になるなど、変更管理も厳格です。
車載半導体の多くは、最先端ではない成熟プロセス(数十nm〜数百nm)で作られます。設計の実績と長期供給が重視され、同じ製品を10年以上供給し続けることも珍しくありません。一方で、自動運転(ADAS)向けのSoCでは先端プロセスの採用が進んでいます。2020〜2022年には、需要の急回復と成熟プロセスの供給不足が重なって車載半導体の不足が深刻化し、自動車の減産につながりました。
電動化によって、1台あたりの半導体の搭載金額は大きく増えています。特にインバーターやオンボードチャージャーで使うIGBTやSiC MOSFETなどのパワー半導体の比重が高まっており、ルネサス エレクトロニクス、インフィニオン、NXP、STマイクロエレクトロニクス、ロームなどが主要なサプライヤーです。